hyousi_mark_mark_s.jpg (6168 バイト)
佐世保の歴史

佐世保のあけぼの

4 黒曜石と安山岩

 旧石器時代や縄文時代の人々が、使用した石器の原材である黒曜石と安山岩の原産地が、佐世保周辺に多かったことを先にあげた。
 黒曜石や安山岩は、火山の噴出物で溶岩の一種であり特に黒曜石は天然ガラスとも呼ばれるように鋭いガラス状の刃をえることができる。図1はこれらの原産地が旧石器時代と縄文時代の関係を示し、それを使って多くの石器が作られたのであろう。
 針尾島には十数ケ所の黒曜石原産地があり、東浜町の淀姫(よどひめ)、伊万里(いまり)市の腰岳(こしだけ)や松浦市の牟田(むた)の黒曜石もある。もっとも大切な石器の石材である黒曜石は、重要な交易品になったと思われる。それは人と人との中継を重ねながら結果的には遠くに運ばれ、使用された痕跡が見られるからでもある。しかし、黒曜石は旧石器時代の共通した石材ではなかった。東北地方では頁岩(けつがん)が、瀬戸内地方ではサヌカイト(安山岩の一種)が使われていた。
 ナイフ形石器は、石材の特質によって多少は変わっても、九州でも本州でもほとんど同じ型式のものが作られている。しかし、石材によってその用法や技法に地方色を見せている。数万年の歳月の流れの中で、人々はその技術を伝えていったと思われる。
 平成13年(2001)に新しく発見されたのは、江上(えがみ)町の土器田溜池(かわらぎたためいけ)付近の黒曜石原産地である。二つ岳の山奥深まった場所に、その原産地は見つかり、膨大な量の黒曜石の原石が確認された。良質で、ガラス状に富む黒曜石で、崎針尾(さきはりお)の黒曜石とは違っていた。泉福寺洞穴で使われていた細石器(さいせっき)等の黒曜石の中で、従来は東浜町の淀姫産と思われていたものが、分析の結果、土器田の黒曜石であることが分かり、大きな成果をもたらした。
 安山岩は、たたくと金属性の音がすることで原産地の多久(たく)周辺では『かな石』と呼んでいる。四国の讃岐(さぬき)(香川県)で原産地が見つかっていたことから、サヌカイトと呼称することもある。
 旧石器時代の剥片尖頭器や角錐状(かくすいじょう)石器(石の槍類)のほか、黒曜石に比べるとそれほど鋭い刃を持つものではないことから、削器(さくき)・掻器(そうき)などに用いられている。したがってナイフ形石器以外の材料になったのであろう。しかし、当時の道具としては貴重な組材であった。原産地は市内の俵ケ浦(たわらがうら)半島、針尾島や北松浦郡の吉井町の福井、佐賀県多久(たく)市の茶園原(ちゃえんばる)や鬼鼻山(おにはなやま)付近である。

写真1 安山岩製の石器

写真2 黒曜石の原石

もどる