インターネットの速さや、音声の的確さなど、周辺機器の力量や使用するわれわれの不慣れな点がみられたものの、時間内に予定の学習内容を展開することはできた。特殊な高級機器でなく、汎用型のパソコンで行うことにこだわったのは、この福祉教育・学習実践が日本のどの地域でもできることを示しておきたかったというねらいもある。
「福祉教育」とインターネット活用という「情報教育」の両面から、子どもにとっては、楽しく興味がわく授業が展開できるものと考えていた通り、アンケートの結果から、子どもたちには、コンピュータの画面を用いてリアルタイムで学習できることへの興味は高いものであった。
機器や未知の人との対話といった興味を抱くテーマを通じて、そこから、内容を深めて学習させる、という方法をとるため、「福祉」という「人権」や「障害」や「暮らし」や「生活環境」といった、ばらばらであるが、一つにくくれるような擬似体験が、子どもの生活経験を広げ、人間的視野を広げる効果が見られるのではと考えられた。
そのためにも、小学生の学習成果が、どういう点で優れており、どういう点で不足がみられたかについて測定するための、アンケートを事後学習の一つとして行った。
結果内容は次の通りである
小学校2校の3年生156名のアンケートで記された自由記述について、KJ法を用いて整理した。資料1
アンケート結果
自由記述では次のように、
1、「身近なところにバリアフリーはあることがわかった」
2、「階段を昇れない人がいることを知った」
3、「人助けができると思った」
の3カテゴリーに分けられた。
1では、家のなかの手すりもバリアフリーのひとつなのだ、とか鏡がなぜ低い位置にあるのかと不思議に思っていたことの意味がわかったなど、日常生活のなかで、町や家で子どもたちは目にはしていたけれど、その意味がわからなかったことがここでつながった様子が述べられるなど、意見群があった。
2、では、階段にしても坂道にしても、それを自由に行き来できない人がいる、町にはたくさんそういう人がいることを知ったという驚きの意見群があった。
3、では、自分は人に優しくしたい、とか、工夫次第で人を助けることができるのだと思ったなど子どもの気持ちが積極的に動いたのだという意見群があった。
以上のことから、分析すると、学習対象の小学生は、まずバリアフリーについて知り、それを利用する機会と利用者の状況を知り、さらに自分も助けたいという情動が発生していることが小学生の自由記述をカテゴライズすることで分析できた。資料2 授業風景
資料1
アンケート結果
| コンピュータのがめんについてききます。
1:コンピュータの画面はよくみえましたか
1)よくみえた
2)まあまあみえた
3)あまりみえなかった
4)みえなかった
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1
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2
|
3
|
4
|
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48
|
83
|
24
|
1
|
|
53%
|
31%
|
15%
|
1%
|
|
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| 2:こえはきこえましたか
1)よくきこえた
2)まあまあきこえた
3)あまりきこえなかった
4)きこえなかった
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1
|
2
|
3
|
4
|
|
42
|
78
|
35
|
1
|
|
50%
|
27%
|
22%
|
1%
|
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|
| 3:だいがくのたんけんたいのはなしはわかりましたか
1)よくわかった
2)まあまあわかった
3)あまりわからなかった
4)わからなっかた
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1
|
2
|
3
|
4
|
|
56
|
64
|
35
|
1
|
|
36%
|
41%
|
22%
|
1%
|
|
|
| 4:もう1つ小学校のはなしはきこえましたか
1)よくきこえた
2)まあまあきこえた
3)あまりきこえなかった
4)きこえなかった
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1
|
2
|
3
|
4
|
|
38
|
85
|
31
|
2
|
|
24%
|
55%
|
20%
|
1%
|
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| じゅぎょうについてききます。
1:バリアフリーについて
1)よくわかった
2)まあまあわかった
3)あまりわからなかった
4)わからなかった
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1
|
2
|
3
|
4
|
|
52
|
61
|
31
|
12
|
|
33%
|
39%
|
20%
|
8%
|
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| 2:くるまいすについて
1)よくわかった
2)まあまあわかった
3)あまりわからなかった
4)わからなかった
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1
|
2
|
3
|
4
|
|
53
|
77
|
25
|
1
|
|
34%
|
49%
|
16%
|
1%
|
|
|
| 3:スロープについて
1)よくわかった
2)まあまあわかった
3)あまりわからなかった
4)わからなかった
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1
|
2
|
3
|
4
|
|
66
|
71
|
18
|
1
|
|
42%
|
45%
|
12%
|
1%
|
|
|
| 4:くるまいすの絵のプリントは書けましたか
1)よく書けた
2)まあまあ書けた
3)あまり書けなかった
4)書けなかった
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1
|
2
|
3
|
4
|
|
71
|
61
|
22
|
2
|
|
46%
|
39%
|
14%
|
1%
|
|
|
3、バリアフリーのばしょは近くにありましたか。 そのばしょをいくでもいいのでかいてください。
・点字・・・デパートのエレベーター
デパート等の公衆 電話
家の洗濯機
病院
病院の自動販売機
・点字ブロック
横断歩道
歩道
九十九島遊覧船の床
書店駐車場
東部住民センター駐車場
・スロープ
駅
ファミリーレストラン
パールシー
住民センター
デパート
公衆トイレ
バス 電動スロープのマーク
・手すり
学校の階段
家の階段
風呂
いとこの家
・障害者用のトイレ
スーパー
公園
・音の出る信号機
・スーパーなどの自動ドア
・エレベーターの車椅子用のボタン
・手洗い場が低くなっている
高速道路のパーキング |
資料2
授業風景
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オープニング
司会「我々はバリアフリー探検隊です。これから大学内のバリアフリーの場所を探していきます。みなさん画面はよく見えていますか?」
小学生「はーい」
司会「隊員を紹介します。こちらのおねえさんはお腹に赤ちゃんがいる役です。妊婦といいます。こちらは足をけがされています。」
司会「どんなときに困りますか?」
隊員「階段の昇り降りなんか大変ですね」
実際に段を登って困っていることを確認する。 |
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車椅子の説明
司会「こんなときに役に立つのが車椅子です」
車椅子について名称、扱い方の説明を行う。
でも車椅子では階段は昇れません。スロープというバリアフリーがありますから使ってみましょう。
隊員「妊娠していると足もとが見えなくて歩くのもこわいんですよ」
小学生「へーぇ」「知らなかった」 |
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スロープ体験
隊員「このようなスロープがあると助かりますね」
司会「ではプリントを見てスロープと記入してください。」
小学生「スロープを車イスでのぼるのはどんな感じですか」、「自分1人では車イスでのぼれますか」
隊員「坂がゆるやかだからこわくないよ。でも自分の力ではのぼれないよ」 |
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車椅子の視点を疑似体験
ちょうど道路をバスが通過
隊員「車椅子からバスを見ると、すごく大きく見えて怖かった。」「みんなも見えました?」
小学生「みえました」「道のでこぼこがあるのがよくわかりました」 |
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トイレ
隊員「このように車椅子で、一人で利用できるようになっています。」
実際に水を流すなど行ってみる。
小学生「図書館やスーパーで見たことあります。これもバリアフリーだとは知らなかった」
隊員「他にも町のなかにあると思うから先生と話し合ってみようね」 |
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エレベーター
隊員「エレベーターにも車椅子一人で乗れるようになっているよ。これは、小さな人でも乗れるようになっているから両方に便利だし必要だね」「エレベーターがないと2階3階へ行くのも大変だから」
小学生「そんなに低いところにボタンがあるとは気づかなかった。」 |
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小学生用バリアフリー学習プリント
司会「車椅子やスロープに名前を書き込められましたか。」
小学生「はーい」
司会「ではどんなときに使うのか考えてみて下さい」
作業
司会「3の町のどこにバリアフリーがあるかこれからの様子で先生と話してみてください。」
小学生「はーい」 |
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各小学校からの質問や意見に対応
小学生からの質問例
1:妊婦さんが坂道を昇るのが大変だとは知らなかった。どうでしたか。
2:足をけがした人を見た時に手伝いしたいと思ったが車椅子はどこにあるのか。
3:小学校の教室は2階3階に行くエレベーターがないけど、けがをした時には困るけどどうすればよいか。 |
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コンピュータに表示された各小学校の様子
大学・小学校2校の3画面が同時に表示され子どもたちは情報機器への興味も手伝って、テーマであるバリアフリーについて引き込まれて学んでいった。手をふる子、自分が映って照れる子ども達など、リアルタイム学習の良い点がここではみられた。 |
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